代表取締役の住所を登記簿から消せる?2024年法改正で注目『住所非表示措置』の落とし穴
- 2025年7月7日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年8月1日

今回のコラムから、いよいよ実務に役立つ情報をお届けしていきます。
経営や登記の現場で実際に寄せられたご相談をもとに、「知っているだけで判断が変わる」そんなトピックをご紹介していきたいと思います。
「代表取締役等の住所非表示措置」とは?
会社の登記簿に、自分の自宅住所がそのまま載ってしまう――この事実に驚かれる経営者の方は少なくありません。プライバシー保護が叫ばれる昨今、2024年の法改正で導入された「代表取締役等の住所非表示措置」は、そんな声に応える制度として注目を集めています。実際に、経営者の方から「登記簿に住所を載せずに済む方法があると聞いたのですが…」というご相談をいただくことも増えてきました。
代表取締役等の住所非表示措置についての詳細はこちら(法務省:代表取締役等住所非表示措置について)
たしかに、一定の条件を満たせば代表取締役の住所を非表示にすることが可能になりましたが、注意すべき点も多く存在します。手続き上の負担や、信用面への影響など、会社のステージや経営戦略によっては思わぬ落とし穴となることもあります。
今回は、この新しい制度のメリット・デメリットを、司法書士の視点からわかりやすく解説します。
【メリット1】
プライバシーと安心感の向上
会社謄本がネットで簡単に取得できる今、自宅住所が公開されないことは大きな安心材料。特に女性経営者にとっては、安心して事業に集中できる環境が整います。
【メリット2】
リスク軽減
SNS等で情報発信をしている経営者や、業種的に注目を集めやすい方にとって、自宅情報の非公開はトラブル回避の手段になり得ます。
【メリット3】
情報コントロールの感覚
「自分の情報を自分で選んで開示する」という感覚は、経営者にとっての心理的な安心にもつながります。
しかし、注意すべき【デメリット】もあります
【デメリット1】
信用評価への影響
非表示措置をとることで、金融機関や取引先から「情報を隠しているのでは?」と疑念を持たれる可能性があります。融資審査で追加資料の提出が求められ、手続きが遅延してしまうケースも。
【デメリット2】
今後の登記手続きが煩雑に
非表示措置をとると、今後の役員変更登記や本店移転登記、不動産登記などでも追加の確認や書類が必要になることが。通常よりも事務負担が増え、実務上のハードルが上がってしまいます。
【デメリット3】
単体で申出不可
「今すぐ住所だけ非表示にしたい」というニーズも多いのですが、この措置は単独での申出ができません。役員変更登記など、他の登記申請と合わせて申出を行う必要があるため、タイミングによっては制度を利用できないこともあります。また、登記手続き上、他にも一定の制約があります。
【デメリット4】
再表示には別途手続きが必要
一度非表示措置をとった後、「やはり表示したい」と方針変更するには、改めて変更手続きが必要になります。将来のIPOやM&A、資金調達などを見据える会社にとっては、柔軟性を損なうリスクがあります。
~最後に~
判断の鍵は「会社のステージ」と「経営方針」
代表取締役の住所を非表示にするか否か――これは単なる個人情報の扱いにとどまらず、「企業として何を優先するか」という戦略的判断です。
たとえば
プライバシーを守ることが経営の安心材料となる会社
情報開示によって信頼性を高めたい成長フェーズの会社
など、状況によって最適解は異なってきます。
プライバシー保護の安心感は確かに魅力的なのですが、対外的な信用や資金調達とのバランスをどう取るかが重要です。特にスタートアップやこれから信用を築いていきたい会社にとっては、情報の出し方そのものが経営戦略の一部といえるでしょう。
判断の際のチェックポイント
資金調達予定の有無
→近い将来に融資や投資を検討しているか?
取引先の業種・規模
→金融機関や大企業との取引が多いか?
経営者の公開度合い
→SNSやメディア露出、業界での知名度など
安易に「非表示にできるならそうしておこう」と考える前に、「あえて開示する」という選択肢も含めて検討することをおすすめします。
「情報を出すこと」と「守ること」。そのバランスは会社ごとに異なります。
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